これだけは知っておきたい!輸入レモン【農薬のひみつ】

果物
投稿者:プロフィール

農業歴18年、レモンの木を育てています。

輸入レモンには、ポストハーベスト農薬という農薬が散布されています。
そのポストハーベスト農薬のひみつについて説明します。

ひみつ1、農林水産省が禁止している農薬

ひみつ1とは、農林水産省は、農薬取締法(登録農薬制度)によって、ポストハーベスト農薬を禁止しているということです。

禁止の内容を具体的に説明すると、輸入レモンに使われているポストハーベスト農薬は、農薬取締法によって、ポストハーベスト農薬の製造・販売・輸入が禁止されているということです。
※農薬登録失効前に農家が購入したポストハーベスト農薬は使用できることがありますが、農薬使用期限切れの農薬は使用を控えることとなっています。

つまり、日本の農家は、レモンに使われるポストハーベスト農薬は、日本では購入できないので使用できないのです。
それは、農林水産省は、農産品の安心安全を最優先に考えているからです。
だからこそ、農林水産省は、農薬取締法(登録農薬制度)によってポストハーベスト農薬の製造・販売・輸入を禁止しているのです。

輸入レモンを購入する時、お店では、使用されているポストハーベスト農薬が明記されています。
使われているポストハーベスト農薬が、日本で製造・販売・輸入が許可されているかどうかは、農林水産省の登録農薬情報提供システムで検索することができます

>>農林水産省、登録農薬情報システムのページはこちら

上記リンクから輸入レモンに使用されている農薬名で検索してみてください。
農薬名で検索しても出てこなければ、日本では禁止されているという事です。

例えば、チアベンダゾールは、登録農薬情報システムで検索しても出てきません。
なぜなら、現在では安心安全と認定できていないため、すでに農薬の登録が失効しているからです。
登録失効農薬は、以前は使用できたが現在では、日本では使うことができません。
農薬登録番号14186のチアベンダゾールは、1979年10月15日に登録され、2006年10月15日に登録が失効しています。
※>>独立行政法人農林水産安全技術センターホームページより

イマザリルも登録農薬情報システムで検索しても出てきません。
イマザリルは、登録失効農薬の一覧にもないので、これまで許可されたことはなく日本では、現在も禁止されている農薬です。

農薬のひみつ1
現在、日本の農家は、ポストハーベスト農薬をレモンに使用できない。
※農薬登録失効前に購入したものを除く

ひみつ2、輸入レモンのみ許可されている農薬

ひみつ2とは、ポストハーベスト農薬は、農薬取締法(登録農薬制度)によって、製造・販売・輸入が禁止されているのに、輸入レモンには使用可能であるということです。

なぜ、農産品の安心安全を最優先に考える農林水産省が、農薬取締法(登録農薬制度)によって製造・販売・輸入を禁止しているポストハーベスト農薬が、輸入レモンに使用可能なのでしょうか?

それは、、ポストハーベスト農薬がないとレモンの品質が保てないからです。

ポストハーベスト農薬は、船で何日もかけて外国から輸送されてくるので、カビや腐食を防ぐために必要なのです。
ポストハーベスト農薬は、輸入レモンにとって非常に重要なものです。
日本で、1年中、安い値段でレモンをお店で手にいれることでできる非常にありがたいものです。

農薬の「禁止と許可」のひみつ

ポストハーベスト農薬は、国産レモンには、禁止。
一方、輸入レモンは、許可。
どうやってこの「禁止と許可」が両立しているのかというひみつについて説明します。

「禁止と許可」矛盾するものが両立しているひみつとは、レモンには、国産と輸入品で、2つの違った基準があるのです。

そのポストハーベスト農薬の2つの基準とは、「農林水産省の農薬としての基準」、「厚生労働省の食品添加物としての基準」です。

厚生労働省は、ポストハーベスト農薬を食品添加物としており残留基準を定めています。
残留基準値内であれば、使用できることになっています。

ポストハーベスト農薬輸入レモンの残留基準日本でのレモンの木に散布使用
チアベンダゾール10ppm不可
オルトフェニルフェノール10ppm不可
イマザリル5ppm不可
ピペロニルブトキシド5ppm不可
ポストハーベスト農薬

輸入レモンに残留して良いポストハーベスト農薬が、国産レモンは禁止できるのでしょうか?

ここにひみつがあります。
そのひみつとは、農林水産省は、ポストハーベスト農薬の使用を禁止しているのではなく、製造・販売・輸入を禁止していることです。

つまり、国産レモンもポストハーベスト農薬が残留しても良いけど、そもそも購入できないので、実質禁止されているのです。

農薬のひみつ2
輸入レモンのポストハーベスト農薬は、食品添加物ということにして残留しても良いことになっている。

圧倒的にきびしい日本の農薬使用基準

国産は、ポストハーベスト農薬は、許可されていません
そもそも、収穫後に散布して良い農薬は、聞いたことがありません。
また、ポストハーベスト農薬を日本のレモンの木に農薬として散布することは、許可されていません。

日本では、農薬の使用基準は、圧倒的にきびしく規制されています。
登録農薬制度(農薬取締法)により規制。
それぞれの作物に使用して良い農薬が、決められています。
非常に複雑で世界で類をみないきびしい基準で、0.01ppmの濃度の違反があっても出荷停止となり、すべて回収し、畑の作物もすべで除去しなくてはなりません。

日本では、レモンにはレモンに使って良い農薬が決まっています。
リンゴに使って良い農薬だからと言ってレモンに使うことは許されていません。
検出限界の「0.01ppm」の許可されていない農薬が検出されてもレモンは、出荷停止となり、回収され、畑のレモンも廃棄されます。
0.01ppmとは、25mプールに一つまみの塩(3グラム)入れた濃度です。
つまり、レモンに使用できない農薬の霧の小さな小さな粒が、一滴付着しただけで、出荷停止、回収、畑の実も廃棄となるのです。

レモンの害虫である「カイガラムシ」の農薬の使用基準を例にとってみましょう。
「モスピラン顆粒水和剤」という農薬があります。
使用基準は、収穫14日前までに散布、希釈倍率2000~4000倍、使用液量10アールあたり200~700リットル、年間使用回数3回以内となっています。
いつまでに使用しなければならないという事まで事細かに決められているのです。
収穫当日に散布できる農薬など聞いたこともありません。

ましてや、ポストハーベスト農薬のように収穫後に利用できる農薬は、日本には1つもないのです。

輸入レモンは、どこから来るのか

輸入国輸入量(t)
アメリカ31,168
チリ20,067
ニュージーランド1,677
南アフリカ1,032
レモンの輸入量:平成31年 財務省貿易統計

コメント

タイトルとURLをコピーしました