ほのかな甘い香りとまろやかな酸味
マイヤーレモン(別称:メイヤーレモン)は、普通のレモンに比べて、すっぱさが、少なくほのかな柑橘の甘い香りとさっぱりとしたまろやかな酸味が特徴です。酸味が少ないので、果汁を搾って、そのままジュースとして飲んでも美味しいです。
また、皮が柔らかくて薄いので、薄切りにして料理に使っても皮ごと美味しく食べることができます。「普通のレモン」だとレモンの果肉の周りにある白い苦い部分が邪魔をして、そのまま切って料理に使うのには不向きです。しかし、マイヤーレモンは、非常に柔らかくて薄い皮がゆえに、料理の食材としても相性が良く、皮を含めてすべて美味しく食べることができるのです。
しかし、その柔らかい皮は傷つきやすく、長距離輸送には向いていません。傷つかないようにお店まで運んで販売するのは、慎重に扱う必要があるのです。それ故に普通の食料品店では、なかなか見かけないのです。
おいしい食べ方は?
まず、酸味が少ないので、果汁を搾ってジュースとして飲むのにぴったりです。また、野菜ジュースに果汁を混ぜても美味しいし、バナナジュースなどのフレッシュジュースに果汁を混ぜても美味しいうえにビタミンCをたっぷり摂取することができます。
料理にマイヤーレモンを使うときは、薄切りにして種を取り除いて皮ごと使用してください。皮ごと美味しく食べるのが、マイヤーレモンの醍醐味だからです。皮ごとすべて食べられるからこそ、スローフードとして人気があるのです。根菜類や鶏肉、魚と一緒にローストして食べるのがポピュラーです。
皮ごとマイヤーレモンの風味を楽しむもう一つの方法は、デザートです。フードプロセッサーなどで皮の食感を楽しめる程度に粗く切り刻み、マフィンなどのケーキに加えます。マイヤーレモンのほんのりとした酸味と皮のレモンのさわやかな風味と食感を楽しむことができます。
また、果汁をしぼって「普通のレモン」の代わりに調理した肉や魚にかけても美味しいし、ドレッシングに混ぜてサラダにかけて食べても美味しいです。「普通のレモン」が、すっぱ過ぎて苦手な人には、ぴったりです。
どこから来たのか?(植物学的観点から)
上記の図を見てもらうと、マイヤーレモン(Meyer lemon)は、右下にあります。
「左上の先祖がCitrus medica」と「右上の先祖がCitrus maxima」の交配によって生まれた事がわかります。
一方、普通のレモンは、上記の図の真ん中より少し下の一番左側にあります。「左上の先祖がCitrus medica」の系統の子孫です。
学名:Citrus medica(シトロン)とは
学名:Citrus medica(シトロン)とは、和名:ブッシュカンのことです。ブッシュカンには、「レモンに似た形のマルブッシュカン」と「手の形をしたブッシュカン(仏手柑)」があります。
手の形をした仏手柑は、果実の形が手の指に似ており、千手観音を連想することから、縁起の良いものとして、日本では有名です。
学名:Citrus maxima(ブンタン)とは
学名:Citrus maxima(ブンタン)とは、漢字では、文旦、和名:ザボンのことです。ボンタンとも呼ばれます。果実が大きく、果皮が厚いのが特徴です。グレープフルーツの親戚の柑橘です。
歴史
マイヤーレモンは、中国原産で中国では、主に観葉植物として扱われていました。1900年代の初めにアメリカ農務省(the U.S. Department of Agriculture)が派遣した、フランク N. マイヤーがアメリカに紹介しました。彼の名前にちなんでマイヤーレモンと名前が付けられました。
現在、アメリカでは、マイヤーレモンは、ファーマーズマーケットで人気があり、シェフに愛されや家庭料理として喜ばれる存在ですが、人々から食材として注目されるまでには、かなりの時間がかかりました。
最初にアメリカに持ち込まれた後、カリフォルニア、フロリダ、テキサスなど柑橘類の生産が盛んな土地で栽培されました。しかし、皮が薄く傷つきやすい皮のせいで、長距離輸送に向かないため全米に広まることはありませんでした。
1960年代には、カリフォルニアで果樹の大部分が病気により壊滅してしまいました。その後、病気にかかっていない果樹から「改良マイヤーレモン」の木が開発されました。その後、柑橘類の生産地域の近くのファーマーズマーケットに限定され売られていました。
そして、アリス・ウォータースやマーサ・スチュワートが、取り上げて以降、人気が上昇し、今日に至っています。
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